予防接種と子どもの健康
予防接種ガイドライン等検討委員会
監修 厚生労働省健康局結核感染症課
財団法人 予防接種リサーチセンター
(1994年9月 第1版発行)
(1995年 改編第1版第1刷)
(1998年 改編第1版第4刷)
(2002年 改編第1版第5刷)
(2003年11月 改訂版)
(2005年 改編)

はじめに
  子どもは病気にかかりやすく,かかると重くなることがありますが,予防接種で,予防できる病気もあります。
  この冊子は,大切なあなたのお子さまがこれから受ける予防接種について,正しい知識を持って,安全に受けることができることを願ってつくられたものです。
  この冊子があなたのお子さまの健やかな成長に役立つことを願っています。
平成17年3月
予防接種に行く前のチェック
1. 子どもの体調はよいですか。
2. 今日受ける予防接種について理解していますか。
わからないことがあれば,質問をメモにしておきましょう。
3. 母子健康手帳は持ちましたか。
4. 予診票の記入はすみましたか。
5. さあ、出かけましょう!

目次
1. 予防接種を受けましょう
2. 予防接種とは
3. 定期の予防接種の対象者・定期
4. 予防接種の対象となる病気と予防接種による副反応
  ポリオ
ジフテリア・百日せき・破傷風
麻しん(はしか)
風しん
日本脳炎
結核
5. 予防接種の種類と特徴
6. 予防接種を受けに行く前に
7. 予防接種の有効性
8. 副反応がおこった場合の対応
9. その他

1.予防接種を受けましょう
  お母さんが赤ちゃんにプレゼントした病気に対する抵抗力(免疫めんえき)は、百日せきや水痘すいとう(みずぼうそう)では生後3カ月までに、麻しん(はしか)やおたふくかぜでは生後12カ月にはほとんどが自然に失われていきます。そのため、この時期を過ぎますと、赤ちゃん自身で免疫をつくって病気を予防する必要があります。その助けとなるのが予防接種です。
  子どもは発育と共に外出の機会が多くなり、感染症にかかる可能性も高くなります。予防接種に対する正しい理解の下で、お子さまの健康にお役立て下さい。
● 感染症(かんせんしょう) ウイルスや細菌さいきんなどの微生物びせいぶつが体内に入り、体内で増加することより発症する病気のことです。微生物の種類によって、発熱やせき、頭痛をはじめとするさまざまな症状が出現します。

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2.予防接種とは
  はしかや百日せきのような感染症の原因となるウイルスや細菌または菌が作り出す毒素の力を弱めて予防接種液(ワクチン)をつくり、それを体に接種して、その病気に対する抵抗力(免疫)をつくることを、予防接種といいます。「予防接種」に使う薬液のことを「ワクチン」といいます。
  すべての病気に対してワクチンがつくれるわけではなく、細菌やウイルスなどの性質によってできないものもあります。
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3.定期の予防接種の対象者・定期
図
  上の表の  および  は、予防接種法で定められた定期の予防接種の対象者又は結核予防法で定められた定期の予防接種の定期です。病気にかかりやすい時期を考慮して定められた期間(標準的な接種期間)である  の期間中にできるだけ接種を受けましょう。
注: BCGに係る期間は、地理的条件、交通事情、災害の発生その他の特別な事情によりやむを得ないと認められる市町村に限り、1歳に達するまでの期間に接種することができる。
違う種類のワクチンを接種する場合の間隔
生ワクチン
ポリオ・麻しん
4週間以上あける
生ワクチン
風しん・BCG
4週間以上あける
不活化ワクチン
(生ワクチンを接種した日から、次の接種を行う日までの間隔は、27日間以上置く。)
不活化ワクチン
ジフテリア・百日咳・
破傷風(DPT)

1週間以上あける
生ワクチン
ジフテリア・破傷風(DT)・
日本脳炎

1週間以上あける
不活化ワクチン
(不活化ワクチンを接種した日から、次の接種を行う日までの間隔は,6日間以上置く。)
  異なった種類のワクチンを特に急いで接種する必要がある場合は、医師にご相談下さい。
  なお、同じ種類のワクチンを複数回接種する場合には、それぞれ定められた間隔がありますので、誤らないようにしてください。
お子さんの予防接種の計画を立ててみましょう
 受ける時期の目安を記入してみてください。
お子さんの生年月日 平成  年  月  日
BCG(生後6月に達するまでの期間) 平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで
ポリオ(標準的な接種期間:生後3月に達した時から生後18月に達するまでの期間)

 1回目


 2回目(1回目から6週間以上の間隔をあけて)



平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで

平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで
DTP 1期初回(標準的な接種期間:生後3月に達した時から
          生後12月に達するまでの期間)

     1回目


     2回目(1回目から3〜8週間までの間隔をあけて)


     3回目(2回目から3〜8週間までの間隔をあけて)


DTP 1期追加(標準的な接種期間:初回終了後12月に
          達した時から18月に達するまでの期間)
平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで

平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで

平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで

平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで

平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで
麻しん(標準的な接種期間:生後12月に達した時から生後
     15月に達するまでの期間)
平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで
風しん(標準的な接種期間:生後12月に達した時から生後
     36月に達するまでの期間)
平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで
日本脳炎 1期初回2回(標準的な接種期間:3歳に達した時
       から4歳に達するまでの期間)

       1回目


       2回目(1回目から1〜4週間までの間隔をあけて)


日本脳炎 1期追加(標準的な接種期間:4歳に達した時から
       5歳に達するまでの期間)



平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで

平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで

平成  年  月 ごろから
平成  年  月 ごろまで
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4.予防接種の対象となる病気と予防接種による副反応
  予防接種と聞くと副反応が心配と消極的になっておられる方もいるようですが、現在日本で使用されているワクチンは、副反応の頻度も少ないものです。 しかし、人間の体の性質は一人一人違いますから、副反応が出る人もいます。程度はいろいろですが、大切なことは、お子さんの体のことをよくわかっているかかりつけの医師に体調をよく診ていただき、接種が可能であるかを判断していただくのがいちばん良いと思います。 地域によっては集団接種のところもありますが、その場合には、接種会場で医師によく相談した上で、予防接種を受けるかどうか判断しましょう。
◆ポリオ(急性灰白髄炎)
(1) 病気の説明
  「小児マヒ」と呼ばれ、わが国でも1960年代前半までは流行を繰り返していましたが、現在は、予防接種の効果で国内での自然感染は報告されていません。しかし、現在でもインド、アフリカなどではポリオの流行がありますから、これらの地域で日本人がポリオに感染したり、日本にポリオウイルスが入ってくる可能性があります。
  ポリオウイルスはヒトからヒトへ感染します。感染したヒトの便中に排泄されたウイルスが口から入りのど又は腸に感染します。感染したウイルスは3〜35日(平均7〜14日)腸の中で増えます。しかし、ほとんどの場合は、症状が出ず、一生抵抗力(免疫)が得られます。症状が出る場合、ウイルスが血液を介して脳・脊髄へ感染し、麻痺を起こすことがあります(麻痺の発生率は1,000〜2,000人に1人)。ポリオウイルスが感染すると100人中5〜10人は、カゼ様の症状を呈し、発熱を認め、続いて頭痛、嘔吐があらわれ麻痺を起こします。一部の人には、その麻痺が永久に残ります。呼吸困難により死亡することもあります。
(2) ポリオワクチン経口けいこう生ワクチン)
  I,II,III型の3つタイプのポリオワクチンウイルスが混ざっています。飲むことによりそれぞれの型に対する抵抗力(免疫)ができます。しかし、1回飲むだけでは1つか2つの型だけに対する抵抗力(免疫)しかできないこともありますので、2回飲むこと(1回目と2回目の接種の間隔には6週間以上の間隔が必要です。)により1回目に抵抗力(免疫)ができなかった型に対する抵抗力(免疫)ができて予防体制ができ上がります。
  ひどい下痢をしていると、ワクチンの効果が弱まるので延期しましょう。
(3) ワクチンの副反応
  ワクチンに使われているウイルスは弱毒化されており安全ですが、服用後体内で増えますので、450万人以上の投与に1人程度の極めてまれな頻度ですが、ウイルスが脳脊髄に達して麻痺を生ずることがあります。
  また、予防接種を受けた人からは接種後15〜37日間(平均26日間)にわたってウイルスが便中に排泄されます。このウイルスがワクチンを受けていない人などのポリオウイルスに対する免疫を持っていない者に感染して、麻痺を起こすことがあります。その頻度は一定していませんが550万人に1人程度でまれなものです。ポリオワクチンウイルスによる2次感染により健康被害を受けた方のために被害救済事業があります。
◆ジフテリア・百日せき・破傷風
(1) 病気の説明
(ア)   ジフテリア(Diphtheria)
  ジフテリア菌の飛沫感染で起こります。
  1981年にジフテリア・百日せき・破傷風(DPT)ワクチンが導入され、現在では患者発生数は年間1〜2名程度ですが、ジフテリアは感染しても10%程度の人が症状が出るだけで、残りの人は症状が出ず、保菌者となり、その人を通じて感染することもあります。
  感染は主にのどですが、鼻にも感染します。症状は高熱、のどの痛み、犬吠様のせき、嘔吐などで、偽膜ぎまくと呼ばれる膜ができて窒息死することがある恐ろしい病気です。発病2〜3週間後には菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすことがありますので、注意が必要です。
(イ)   百日せき(Pertussis)
  百日せき菌の飛沫感染で起こります。
  1956年から百日せきワクチンの接種がはじまって以来、患者数は減少してきています。
  百日せきは、普通のカゼのような症状ではじまります。続いてせきがひどくなり、顔をまっ赤にして連続的にせき込むようになります。せきのあと急に息を吸い込むので、笛を吹くような音が出ます。熱は出ません。乳幼児はせきで呼吸ができず、くちびるが青くなったり(チアノーゼ)、けいれんが起きることがあります。肺炎や脳症などの重い合併症を起こします。乳児では命を落とすこともあります。
飛沫感染(ひまつかんせん)
ウイルスや細菌がせきやくしゃみなどで細かい唾液や気道分泌物につつまれて空気中へ飛びだし、約1mの範囲で人に感染させることです。
(ウ)   破傷風(Tetanus)
  破傷風菌はヒトからヒトへ感染するのではなく、土の中にひそんでいて傷口からヒトへ感染します。傷口から菌が入り体の中で増えますと、菌の出す毒素のために、口が開かなくなったり、けいれんを起こしたり、死亡することもあります。患者の半数は自分や周りの人では気がつかない程度の軽い刺し傷が原因です。日本中どこでも土中に菌はいますので、感染する機会は常にあります。また、お母さんが抵抗力(免疫)をもっていれば出産時に新生児が破傷風にかかるのを防ぐことができます。
(2) (ジフテリア・百日せき・破傷風)三種混合ワクチン
  I期として初回接種3回(3〜8週間までの間隔をあけて)、追加接種は1回(初回接種3回終了後おおむね1年を経過した時期)行います。また,II期として11歳時にDT(ジフテリア・破傷風)二種混合ワクチンで接種を1回行います。
  回数が多いので、接種もれに注意しましょう。
  確実に免疫をつくるには、決められたとおりに接種を受けることが大切ですが、万一間隔があいてしまった場合には、市町村とかかりつけの医師にご相談ください。
(3) DPTワクチンの副反応
  1981年に百日せきワクチンが改良されて以来、日本のワクチンは副反応の少ない安全なワクチンになっています。現在の副反応は,注射部位の発赤・腫脹(はれ)、硬結(しこり)などの局所反応が主で、頻度に程度の差はありますが、初回接種1回目のあと、7日目までに14.0%、追加接種後7日目までに41.5%です。なお、硬結(しこり)は少しずつ小さくなりますが、数カ月残ることがあります。特に過敏な子で肘をこえて上腕全体がはれた例が少数ありますが、これも湿布などで軽快しています。
  通常高熱は出ませんが、接種後24時間以内に37.5℃以上になった子が1.4%あります。重い副反応はなくても、機嫌が悪くなったり、はれが目立つときなどは医師にご相談ください。
◆麻しん(はしか)
(1) 病気の説明
  麻しんウイルスの空気感染によって起こります。感染力が強く、予防接種を受けないと、多くの人がかかる病気です。発熱、せき、鼻汁、めやに、発疹を主症状とします。最初3〜4日間は38℃前後の熱で、一時おさまりかけたかと思うとまた39〜40℃の高熱と発疹が出てきます。高熱は3〜4日で解熱し、次第に発疹も消失します。しばらく色素沈着が残ります。
  主な合併症としては、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎があります。患者100人中、中耳炎は7〜9人、肺炎は1〜6人に合併します。脳炎は1,000人に2人の割合で発生がみられます。また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という慢性に経過する脳炎は約5万例に1例発生します。また、麻しん(はしか)にかかった人は数千人に1人の割合で死亡します。わが国では現在でも年間約50人の子がはしかで命を落としています。
空気感染(くうきかんせん)
ウイルスや細菌が空気中に飛びだし、1m以上を超えて人に感染させることです。
はしか、水ぼうそう、結核が空気感染します。
(2) 麻しん(はしか)ワクチン(生ワクチン)
  麻しんウイルスを弱毒化してつくったワクチンです。
  1歳から2歳の間に麻しんにかかる子どもが多くなっていますので、1歳になったらすぐに予防接種を受けるように努めましょう。
  ガンマグロブリンの注射を受けたことがある人は、3カ月以上過ぎてから、川崎病などでガンマグロブリン大量療法を受けたことがある人は、6カ月以上過ぎてから麻しんの予防接種を受けてください(ガンマグロブリンは、血液製剤の一種でA型肝炎等の感染症の予防目的や重症の感染症の治療目的などで注射することがあります。)。
(3) ワクチンの副反応
  麻しんのワクチンは生ワクチンのため、ウイルスが体内で増え、接種後5〜14日までに、5.3%に37.5℃以上38.4℃未満の発熱、8.1%に38.5℃以上の発熱、5.9%に麻しん様の発疹が認められます。通常は1〜2日で消失します。また、まれに熱性けいれんが起こります。ごくまれ(100〜150万人に1人以下)に脳炎の発生も報告されています。
◆風しん
(1) 病気の説明
  風しんウイルスの飛沫感染によって起こります。潜伏期間は2〜3週間です。軽いかぜ症状ではじまり、発疹、発熱、後頸部リンパ節腫脹などが主症状です。そのほか、眼球結膜の充血もみられます。発疹も熱も約3日間でなおるので「三日ばしか」とも呼ばれることがあります。合併症として、関節痛、血小板減少性紫斑病、脳炎などが報告されています。血小板減少性紫斑病は患者3,000人に1人、脳炎は患者6,000人に1人くらいです。大人になってからかかると重症になります。
  妊婦が妊娠早期にかかりますと、先天性風しん症候群と呼ばれる病気により、心臓病、白内障、聴力障害などの障害を持ったお子さんが生まれる可能性が高くなります。
(2) 風しん(三日ばしか)ワクチン(生ワクチン)
  風しんウイルスを弱毒化してつくったワクチンです。
  2〜3歳になると、かかる子どもが急に増えますので、麻しんワクチンが終わった後続けて受けるように努めましょう。男の子も女の子も受けることになります。お母さんが次の子どもを妊娠しているときにお子さんが予防接種を受けても、接種を受けたお子さんからお母さんに風しんウイルスが感染した例はありませんので、心配はありません。
(3) ワクチンの副反応
  風しんワクチンも生ワクチンですから、麻しん(はしか)と同じようにウイルスが体内で増えます。小児では接種後5〜14日までに、1.9%に37.5℃以上38.4℃未満の発熱、2.6%に38.5℃以上の発熱、1.3%に発疹,0.6%にリンパ節腫脹が認められます。予防接種を受けた人から周りの人に感染することはありません。
◆日本脳炎
(1) 病気の説明
  日本脳炎ウイルスの感染で起こります。ヒトから直接ではなくブタの体内で増えたウイルスが蚊によって媒介され感染します。7〜10日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状を示す急性脳炎になります。
  流行は西日本地域が中心ですが、ウイルスは北海道など一部を除く日本全体に分布しています。この地域で飼育されているブタにおける日本脳炎の流行は毎年6月から10月まで続きますが、この間に80%以上のブタが感染しています。以前は小児、学童に発生していましたが、予防接種の普及などで減少し、最近では予防接種を受けていない高齢者を中心に患者が発生しています。
  感染者のうち1,000〜5,000人に1人が脳炎を発症します。脳炎のほか髄膜炎や夏かぜ様の症状で終わる人もいます。脳炎にかかった時の死亡率は約15%ですが、神経の後遺症を残す人が約50%います。
(2) 日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)
  日本脳炎ウイルスを殺し(不活化)、精製したものです。
  北海道を除く日本全国には、日本脳炎ウイルスに感染したブタとウイルスを運ぶ蚊(コガタアカイエカ)がたくさんいます。3歳を過ぎたら受けるように努めましょう。確実に抵抗力(免疫)をつくるには、決められたとおりに受けることが大切です。
(3) ワクチンの副反応
  副反応としては、2日以内に37.5℃以上の発熱が予防接種を受けた者の1.5%にみられます。接種局所の発赤・腫脹(はれ)は予防接種を受けた者100人中10人程度です。発疹も1.1%にみられ、圧痛あっつうもまれにみられます。ごくまれ(100万人に1人程度)にアレルギー性脳脊髄炎の発生も報告されています。
◆結核
(1) 病気の説明
  結核菌の感染で起こります。
  わが国の結核患者はかなり減少しましたが、まだ3万人を超える患者が毎年発生しており、大人から子どもへ感染することも少なくありません。また、結核に対する抵抗力はお母さんからもらうことができませんので、生まれたばかりの赤ちゃんもかかる心配があります。乳幼児は結核に対する抵抗力が弱いので、全身性の結核症にかかったり、結核性髄膜炎ずいまくえんになることもあり、重い後遺症を残す可能性があります。
(2) BCGワクチン(生ワクチン)
  BCGは牛型結核菌を弱毒化してつくったワクチンです。
  BCGの接種方法は、管針法といってスタンプ方式で上腕の2カ所に押しつけて接種します。それ以外の場所に接種するとケロイドなどの副反応が出ることがありますので、絶対に避けなければなりません。接種したところは、日陰で乾燥させてください。10分程度で乾きます。
(3) BCGの副反応
  接種後10日頃に接種局所に赤いポツポツができ、一部に小さいうみができることがあります。この反応は、接種後4週間頃に最も強くなりますが、その後は、かさぶたができて接種後3カ月までにはなおり、小さなきずあとが残るだけになります。これは異常反応ではなく、BCG接種により抵抗力(免疫)がついた証拠です。包帯をしたり、バンソウコウをはったりしないで、そのまま普通に清潔を保ってください。自然になおります。ただし、接種後3カ月を過ぎても接種のあとがジクジクしているようなときは医師にご相談ください。
  副反応としては、接種をした側のわきの下のリンパ節がまれにれることがあります。通常、放置して様子をみてかまいませんが、ときにただれたり、大変大きく腫れたり、まれに化膿して自然にやぶれてうみが出ることがあります。その場合には医師にご相談ください。
  また、お子さんが結核にかかったことがある場合、接種後10日以内に接種局所の発赤・腫脹及び接種局所の化膿等を来たし、通常2週間から4週間後に消炎、瘢痕化し、治癒する一連の反応が起こることがあり、これをコッホ現象といいます。コッホ現象と思われる反応がお子さんに見られた場合は、接種を受けた医療機関を受診させてください。この場合、お子さんに結核をうつした可能性のあるご家族の方々も医療機関を受診するようにしましょう。
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5.予防接種の種類と特徴
  予防接種で使うワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチンの2種類があります。
  生ワクチン は生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたもので、これを接種することによってその病気にかかった場合と同じような抵抗力(免疫)ができるものです。定期の予防接種で使用するワクチンでは、ポリオ,麻しん(はしか)、風しん、BCGがこれにあたります。
  接種後から体内で毒性を弱めた細菌やウイルスの増殖がはじまりますから、それぞれのワクチンの性質に応じて、発熱や発疹の軽い症状が出ることがあります。十分な抵抗力(免疫)ができるのに約1カ月が必要です。
  不活化ワクチン は細菌やウイルスを殺し抵抗力(免疫)をつくるのに必要な成分を取り出して毒性をなくしてつくったものです。定期の予防接種で使用するワクチンでは、ジフテリア・百日せき・破傷風(DPT)、日本脳炎がこれにあたります。
  この場合、体内で細菌やウイルスは増殖しませんので、何回か接種し、抵抗力(免疫)ができます。一定の間隔で2〜3回接種し、最小限必要な抵抗力(免疫)ができたあと、約1年後に追加接種をして十分な抵抗力(免疫)ができあがります。
  しかし、しばらくすると少しずつ抵抗力(免疫)が減ってしまいますので、長期に抵抗力(免疫)を保つためには、それぞれのワクチンの性質に応じて一定の間隔で追加接種が必要です。
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6.予防接種の有効性
  予防接種は、その病気にかからないことを目的にしていますが、受ける人の体質、その時の体調などによって抵抗力(免疫)ができないこともあります。普通健康な人が生ワクチンを受けた場合、96〜98%の人は抵抗力(免疫)ができます。もし確実に抵抗力(免疫)ができたかどうかを知りたい場合には血液をとって血中の抗体を測定すれば(有料)わかる場合もあります。
  また、不活化ワクチンでは基礎免疫を完了すれば98〜99%の人に抵抗力(免疫)ができます。抵抗力(免疫)ができてもしばらくすると少しずつ減っていきますので、長期に抵抗力(免疫)を保つためには、一定の間隔で追加接種が必要です。
  予定どおり予防接種ができなかったときには、抵抗力(免疫)のできにくい時もありますから、かかりつけ医や予防接種をする医師に相談してみましょう。
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7.予防接種を受けに行く前に
(1) 一般的注意
  予防接種は体調のよい時に受けるのが原則です。日頃から保護者の皆さんはお子さんの体質、体調など健康状態によく気を配ってください。そして何か気にかかることがあれば、あらかじめかかりつけの医師や保健所、市町村担当課にご相談ください。
  安全に予防接種を受けられるよう、保護者の皆さんは、以下を注意の上、当日に予防接種を受けるかどうかご判断ください。
(1)   当日は、朝から子どもの状態をよく観察し、ふだんと変わったところのないことを確認してください。
  予防接種に連れていく予定をしていても、体調が悪いと思ったら、医師に相談の上、接種をするかどうか判断しましょう。
(2)   受ける予定の予防接種について、通知やパンフレットをよく読んで、必要性や副反応についてよく理解しましょう。わからないことは会場で接種を受ける前に質問しましょう。
(3)   母子健康手帳は必ず持っていきましょう。
(4)   予診票は子どもを診て接種する医師への大切な情報です。責任をもって記入するようにしましょう。
(5)   予防接種を受ける子どもの日頃の状態をよく知っている保護者の方が連れていきましょう。
  なお、予防接種の効果や副反応などについて理解した上で、接種を同意したときに限り、接種が行われます。
(2) 予防接種を受けることができない者
(1)   明らかに発熱をしている者
(2)   重篤じゅうとくな急性疾患にかかっていることが明らかな者
  急性で重症な病気で薬を飲む必要のあるような者は、その後の病気の変化もわかりませんので、その日は見合わせるのが原則です。
(3)   その日に受ける予防接種の接種液に含まれる成分によって,アナフィラキシーを起こしたことがあることが明らかな者
  「アナフィラキシー」というのは通常接種後約30分以内に起こるひどいアレルギー反応のことです。汗がたくさん出る、顔が急に腫れる、全身にひどいじんましんが出るほか、はきけ、嘔吐、声が出にくい、息が苦しいなどの症状に続きショック状態になるようなはげしい全身反応のことです。
(4)   BCG接種の場合においては、予防接種、外傷等によるケロイドが認められる者
(5)   BCG接種の場合においては、結核の既往のある者
(6)   その他、医師が不適当な状態と判断した場合
  上の(1)〜(5)に当てはまらなくても医師が接種が不適当と判断した時はできません。
(3) 予防接種を受ける判断を行うに際して注意を要する者
  以下に該当すると思われる人は、主治医がいる場合には必ず前もって診ていただいて予防接種を受けるかどうかをご判断いただき、受ける場合にはその医師のところで行うか、あるいは診断書又は意見書をもらってから予防接種に行きましょう。
(1)   心臓病、腎臓病、肝臓病、血液の病気や発育障害などで治療を受けている者
(2)   過去の予防接種で、2日以内に発熱のみられた者及び発疹、じんましんなどアレルギーと思われる異常がみられた者
(3)   過去にけいれん(ひきつけ)を起こしたことがある者
  けいれん(ひきつけ)の起こった年齢、そのとき熱があったか、熱がなかったか、その後起こっているか、接種するワクチンの種類は何かなどで条件が異なります。必ずかかりつけの医師と事前によく相談しましょう。
  原因がはっきりしている場合には、一定期間たてば予防接種を受けることができます。
(4)   過去に免疫不全の診断がされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
(5)   ワクチンにはその製造過程における培養に使う卵の成分、抗生物質、安定剤などが入っているものもありますので、これらにアレルギーがあるといわれたことのある者
(6)   BCG接種の場合においては、家族に結核患者がいて長期に接触があった場合など、過去に結核に感染している疑いのある者
(4) 予防接種を受けた後の一般的注意事項
(1)   予防接種を受けたあと30分間は、接種会場でお子さんの様子を観察するか、医師とすぐに連絡をとれるようにしておきましょう。急な副反応はこの間に起こることがあります。
(2)   接種後、生ワクチンでは4週間、不活化ワクチンでは1週間は副反応の出現に注意しましょう。
(3)   接種部位は清潔に保ちましょう。入浴は差し支えありませんが、わざと接種部位をこすることはやめましょう。
(4)   接種当日は、はげしい運動はさけましょう。
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8.副反応がおこった場合の対応
(1) 通常見られる反応
  ワクチンの種類によっても異なりますが、発熱、接種局所の発赤・腫脹(はれ)、硬結(しこり)、発疹などが比較的高い頻度(数%から数十%)で認められることがあります(各病気の「ワクチンの副反応」の項を参照)、通常,数日以内に自然に改善するので心配は不要です。
(2) 重い副反応
  予防接種を受けたあと、接種局所のひどいはれ、高熱、ひきつけなどの症状があったら、医師の診察を受けてください。お子さんの症状が予防接種後副反応報告基準に該当する場合は、医師から市町村長へ副反応の報告がされます。
  ワクチンの種類によっては、極めてまれ(百万から数百万人に1人程度)に脳炎や神経障害などの重い副反応が生じることもあります。このような場合に厚生労働大臣が予防接種法又は結核予防法に基づく定期の予防接種によるものと認定したときは、予防接種法に基づく健康被害救済の給付の対象となります。
(参考) 紛れ込み反応
  予防接種を受けたしばらく後に、何らかの症状が出現すれば、予防接種が原因ではないかと疑われることがあります。しかし、よく検査をすると、たまたま同じ時期に発症した他の感染症などが原因であることが明らかになることもあります。これを「紛れ込み反応」と言います。
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9.その他
(1) 実施時期および通知について
  予防接種法及び結核予防法に基づく定期の予防接種は、市町村が行うことになっており、個人通知や回覧などでお知らせしています。この通知などは、住民基本台帳及び外国人登録台帳に基づいて行いますので、赤ちゃんが生まれた時、転居した時には必ず届出をしましょう。
(2) 実施の時期
  予防接種には病気ごとそれぞれ接種に適した時期があります。標準的な接種期間に受けましょう。
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